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「自己破産しても残せる財産はあるの?」
自己破産をすると、財産の一切合財が差し押さえされる...というイメージがありますが、正しくは、債務者の再生の為に必要最低限のものを残すことが認められています。
では、どのような財産なら、残すことができるのでしょうか?
今回は、自己破産でも残せる財産とは?について、詳しく解説いたします。
自己破産をすると、破産手続き開始のタイミングで、あなたの所持している差し押さえ可能な財産が、破産財団の管理下に置かれます。
そして破産管財人のもとで換金処分されて、そのお金はカード会社に弁済、あるいは配当されることになります。
一方、いくら破産したからといっても、その後も暮らしていかなくてはなりません。所持しているあらゆるものが処分されると、さすがに困ってしまいますよね。
これでは「借金を免責して、破産者を経済的更生を図る」という、自己破産の本来の目的から反しています。
そこで破産法でにおいては、個人の破産に関しては、生活必需品となる財産、または換金処分できない財産については、差し押さえを免除するものとしています。
この、自己破産をしても差し押さえの対象とならない財産のことを「自由財産」と呼び、これに関しては残すことができて、破産者は自由に利用することが許されます。
自己破産における自由財産とは、
...です。それぞれについて、下記にて詳しく解説いたします。
現金については、99万円以下なら無条件で保有することが認められています。
ただし、ここで現金といっているものは、あくまで実物の現金であり、銀行の預金口座などは含まれません。なので弁護士に依頼して自己破産する前に、預金口座から現金を引き出しておくべきです。
なお、破産手続き直前に財産を売却して現金化する行為は、裁判所に否定される場合があるので注意してください。
民事執行法により「差押禁止動産」として、現金66万円以下の没収は禁止されています。
もう少し詳しく言うと、民事執行法131条の3号に「標準的な世帯の2ヶ月の必要経費を勘案して政令で定める額の金銭」は差押えてはならないとあります。
この政令で定める額が、1ヶ月に33万円なのです。(つまり2か月分で66万円です)
そして、破産法ではこの解釈が拡張されており、3か月分、すなわち99万円までの所有が認められているというわけです。
現金以外でも、差し押さえされない財産があります。「差押禁止財産」と呼ばれるものです。
まずは、どのようなものが対象なのかを下記に整理いたします。
生活に欠くことのできない衣服、寝具、家具、台所用具、畳および兼具 |
1カ月間の生活に必要な食料や燃料 |
農業を営む人の農器具や肥料、家畜、飼料、次の収穫までの種子など |
漁業を営む人の採捕や養殖のための漁網、漁具、えさや稚魚など |
技術者や職人の業務に欠かせない器具など。在庫商品は除く |
実印その他の印で職業や生活に欠かせないもの(印鑑) |
仏像、位牌などの礼拝や祭祀に直接必要なもの |
日記や商業帳簿など |
破産者や親族が受けた勲章やトロフィーなど名誉を表彰するもの |
学校その他の教育施設で学習に必要な書類や器具など |
発明品や著作物などで、まだ未発表のもの(公表されていないもの) |
義足や義手、身体補足の器具、災害の防止や消防設備、実印、勲章、仏像 |
建物などの防災設備、消防器具、避難器具その他、災害防止のための備品 |
上記の中でも特に重要なのが「生活に必要な衣服や家具」などでしょう。
差し押さえが免れる家財は、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、などの日用品、生活のための家具や家電や、衣服など生活に必要なもの。
またゲームや漫画など、処分価値が低い小物も残せます。
次に、差し押さえ禁止の債権について下記に整理いたします。
給料、賃金、棒給、退職年金、賞与等の給与4分の3相当の金額 |
退職金、退職手当などの性質の債権の4分の3相当の金額 |
民間の個人年金保険など、 国や地方公共団体以外から生活のために継続支給される給付の4分の3相当の金額 |
国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金の受給権 |
小規模企業共済金の受給権 |
失業保険(雇用保険)による給付金の債権 |
生活保護費の受給権 |
上記の通り、給料は、4分の1までしか差し押さえができません。そもそもですが、自己破産では給料や年金が差し押さえ対象となることはありません。
一方、退職金については、差し押さえられる可能性があります。これにもいくつかパターンがあるのですが、
①既に受給している場合は、現金や預金扱い
②近い将来、貰う予定なら、受給予定額の4分の1相当が差押え
③当分は貰う予定がないなら、「受給見込額」の8分の1相当が差押え
...となります。
もっとも、将来受け取る予定の退職金を支払うことは出来ないので、実務的には、同額の現金を代わりに積み立て、破産財団に組み入れることにより、対応しています。
また退職金については、後述する「自由財産の拡張」が認められる可能性もあります。認められれば現金とあわせて99万円以下なら差し押さえが免れます。
自由財産となる財産については、上記でご説明してきた「99万円以下の現金」「差押禁止財産(債権)」の他に、
破産管財人による判断で「自由財産」として認められる「自由財産の拡張」があります。
この自由財産の拡張が認められれば、計99万円以下までの財産を保有することが可能です。例えば、現金50万円、自動車(評価額)20万円、預金10万円...だとしたら、計80万円で保有することが認められる可能性がある訳です。
裁判所によって、判断基準にブレがあるのですが、自由財産の拡張が認められる財産は、おおよそ以下の通りです。
①預貯金、定期預金
②保険の解約返戻金
③自動車
④賃貸部屋の敷金返還請求権
⑤退職金債権、退職金見込額
⑥電話加入権
なお、上記の財産なら何でも自由財産の拡張として認められる訳ではありません。
これらの項目でも、裁判所によって認められる場合と、そうでない場合があるようです。
上記の項目の他、もう一つ重要な基準があります。これも裁判所により基準が異なるのですが、自由財産拡張には、20万円基準と、99万円基準というものがあります。
20万円基準とは、財産一つ一つが20万円を超えているか否か?で判断される基準です。
そして、20万円を超えている財産は、拡張が認めらず、処分されるケースがあるようです。
対して、99万円基準とは、財産の一つ一つの金額は関係なく、合計額が99万円を超えているか否か?で判断される基準となります。
先ほど挙げた例(現金50万円、自動車(評価額)20万円、預金10万円...)なら認める、ということです。
ちなみに、東京地裁や大阪地裁では、この基準に近い形で運用されています。
もし、自由財産の拡張を認めてほしい財産がある場合は、破産者が裁判所へ申立を行う必要があります。
「自由財産拡張申立書」と、「財産目録」を作成して、裁判所に提出することになります。弁護士に依頼している場合は、弁護士が代理でおこなってくれます。
裁判所による判断の決定については、破産手続き開始から1ヵ月以内に行われます。管財事件の場合は、いったん預金通帳や自動車の鍵などが、破産管財人に管理されることになります。
ただし、もし自由財産の拡張が認められ、預金残高や自動車の所有が認められたのなら、すぐに返されます。
自己破産しても、残せる財産(自由財産)について、詳しく解説いたしました。
ただし、上記の自由財産は、どこまでが許容範囲なのか?許容されないのか?について、基準が各地方裁判所ごとに違いがあるので、一概にはいえないところがあります。
詳しい判断は、弁護士などの専門家に調べてもうらう必要があるでしょう。もし不安があるなら、早めに相談するようにしましょう。
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