地元宮城出身・仙台で15年以上債務整理を行う司法書士
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稲辺司法書士事務所
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まず、裁判所を介さない比較的ハードルが低めの債務整理である、任意整理と車の関係について説明します。
任意整理とは裁判所を介さず直接カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)と任意の交渉に応じてもらうことで、将来的に発生する利息と遅延損害金をカットして、残りの借金を3年~5年の分割払いにしてもらうよう合意する債務整理です。
つまり、任意整理とは、「カード会社に借金の分割払いを認めてもらう債務整理」といえるでしょう。
任意整理のメリットは、毎月の借金返済の負担が下がることです。
結論から言うと、任意整理しても車を失う必要はありません。
なぜなら、任意整理では、債務整理する借金の対象を自由に選べるからです。
したがって、自動車ローンを任意整理の対象から除外して、その他の借金だけで手続を行うことができます。
また、自動車ローンの金利は一般的な借金に比べ非常に安いので、任意整理の対象から除外しても毎月の支払い額に大きな差はありませんので、大きな問題にはならないでしょう。
一点注意が必要なのが、自動車ローンを組んだカード会社に別の借金があり、そちらだけを任意整理の対象にしたいような場合です。
この場合は自動車ローンだけを除外して任意整理することができないため、車を没収される可能性が高いでしょう。
なお、自動車ローンが残っている車を債務整理すると、車が没収される理由については後述します。
個人再生で債務整理する場合には、車の自動車ローンの有無が、車を手元に残せるかどうかの重要な判断基準になってきます。
個人再生とは、裁判所に申立することで借金を1/5~1/10程度まで減額してもらい、その残りを原則3年間(最大5年間)で返済できれば完済扱いにしてもらえる債務整理です。
つまり、個人再生とは「裁判所に借金の減額を認めてもらう債務整理」といえるでしょう。
個人再生のメリットは借金が大幅に減額されることと、「住宅ローン特則」と呼ばれる制度を使うことで、住宅ローンが残った自宅を手元に残しつつ借金を減額してもらえる点です。
ただし、個人再生は任意整理と異なりすべての借金が整理対象になりますので、一部の借金のみ除外することはできません。
個人再生では既に完済している(ローンが残っていない)車が没収されることはありません。
しかし、市場価値が20万円以上の車は清算価値としてカウントされるため、高額な車の場合には個人再生後の借金返済額に影響を与える可能性がでてきます。
個人再生では、市場価格が20万円以上の車は「清算価値(破産する際に清算する財産と同額のお金=財産)」として扱われます。
車と他の財産の合計(清算価値)が最低弁済額を上回る場合は、最低弁済額まで引き下げることができなくなってしまいます。
通常、自動車ローンを組む場合には、ディーラーやローンの保証会社などと契約を締結するのですが、その中に「所有権留保」という条文が設定されるのが一般的です。
所有権留保とは、ローンなどの売買契約において買い主に目的物を引き渡す際、代金を完済するまで目的物の所有権は売り主に残しておくというルールになります。
したがって、自動車ローンの返済中は、車の所有者はあなたではなくディーラーやローンの保証会社が持つことになるのです。
よって、自動車ローンが残った車を持っている方が個人再生すると、車は引き上げられることになるでしょう。
軽自動車を持っている方が個人再生した場合も、基本的には前述した内容と同じです。
ただし、普通車が「不動産」として扱われることに対して、軽自動車は「動産(不動産以外の動かせる財産)」扱いになるため、若干異なる点があります。
動産には、「現在の持ち主が所有権を主張できる」というルールがあるのです。
そのため、個人再生してディーラーなどに引き上げられそうになった際、軽自動車の所有権を主張することで車の引き上げを拒否できる可能性があります。
ただし、軽自動車をローンで購入する際には、やはり契約の中に所有権留保が設定されているケースが多いため、その場合は引き上げられてしまいますので注意しましょう。
次は、債務整理の最終手段といわれる自己破産と車の関係について説明します。
自己破産とは、「破産」という申立人の財産を清算して換価(お金に換える)しカード会社に分配する手続と、「免責」という裁判所に借金が支払い不能状態と認められることで借金の支払いが免除される2つの手続を行う債務整理です。
つまり、自己破産とは、「財産を失う代わりに裁判所に借金の支払い免除を認めてもらう債務整理」といえるでしょう。
自己破産では20万円以上の価値ある財産が清算対象になるため、ローンが残っていなくても車を手元に残すことは困難です。
ただし、清算対象の財産になるのは、あくまでも20万円以上の車になりますので、以下のような場合は、清算対象にはならず手元に残せる可能性が高いでしょう。
したがって、あなたがお持ちの車が手元に残せるかどうかについては、裁判所に確認しておく必要があるでしょう。
なお、自動車ローンが残っている車に関しては、個人再生同様引き上げられてしまうため、手元に残すことはできません。
債務整理後に自動車ローンが残った車を残す方法としては、以下のような方法が考えられます。
債務整理後に自動車ローンが残った車を残すには、家族や親戚といった第三者にあなたの車を買ってもらい、自動車ローンの残額を一括返済してもらうという方法があります。
車は第三者に名義変更されるため、あなたが債務整理しても車が引き上げられることはなくなるというわけです。
この方法であれば、車がまったく知らない方の所有物になることもありませんので、車さえ借りられればそのまま乗り続けることも可能でしょう。
また、カード会社は第三者による借金の返済を拒否することはできないため、自動車ローンの残りを一括返済する要請を受けた場合には基本的に支払いを受け入れます。
ただし、車を売却する時期には注意が必要です。
なぜなら、個人再生や自己破産の直前に車を売却すると、「財産隠し」などの不正行為にみなされる可能性があるため、最悪の場合、債務整理できなくなるケースもあります。
したがって、この方法を実行したい場合は、事前に司法書士に相談してから、売却の可否や時期などを判断するようにしましょう。
個人再生であれば、車の所有権を持つ会社と「別除権協定」を締結できれば、車を手元に残せる可能性があります。
別除権協定とは、「借金の返済を続ける代わりに車を引き上げない」旨を合意する契約のことです。
ただし、通常であれば「偏頗弁済(一部のカード会社にだけ優先して借金を返済する行為)」という違法行為に該当しますので、よほどの事情がないと裁判所から許可が下りることはないでしょう。
たとえば、個人タクシーの運転手や長距離トラックの運転手が車を没収されてしまうと、仕事ができなくなり借金の返済が不可能になります。
こうなると、逆に債務整理の対象になったカード会社の不利益につながるため、裁判所の判断で別除権協定の締結許可が下りる可能性があるのです。
最後に、債務整理で車を失ってしまった場合、その後どのように車を購入したらよいのか説明します。
債務整理すると、信用情報(カード会社と顧客の取引情報や債務整理の記録)に事故情報として掲載され、5年~10年程度の期間はカード会社から新たな借入ができなくなります。
これが、俗に言う「ブラックリストに載る」という状態で、この期間中は自動車ローンが組めなくなるため、車を購入したい場合には一括購入するしかありません。
ただし、事故情報は5年~10年程度経過すると信用情報から抹消されますので、それ以降であれば再び自動車ローンを組むことが可能です。
<債務整理ごとの事故情報掲載期間目安>
なお、債務整理の対象になったディーラーやローンの保証会社では、自動車ローンが組めないため注意しましょう。
ブラックリストの影響があるのは、債務整理を行った本人だけです。
したがって、あなた以外の第三者に対しては影響ありませんので、あなたの配偶者や親戚などの名義であれば、債務整理後でも自動車ローンを組むことができます。
なお、この方法であれば、ローンの支払いをあなたが行っても問題ありません。
<各債務整理と車の扱い>
| 自動車ローン完済済みの車 | 自動車ローンが残った車 |
任意整理 | 残せる | 残せる |
個人再生 | 20万円以下:残せる 20万円以上:清算価値になる可能性がある | 残せない |
自己破産 | 20万円以下:残せる 登録後5年以上経過:残せる 20万円以上:残せない | 残せない |
宮城県登米市出身。2003年司法書士資格取得。
仙台駅より5分。花京院スクエア向かいに、稲辺司法書士事務所を運営。
「市民のための法律活用」をモットーに、債務整理、交通事故、離婚などの業務が専門。